じゃ―子の巣立ち

なかなか貴重な面白い経験だったと思うので、書き残しておこう。

順調に子どもたちが育っていたはずのツバメの巣が何者かに襲われて(カラスかヘビか判断できない)、ヒナたちがさらわれたのが5月29日(だと思う)の朝。そういえば早朝はジャージャー言ってたのに・・・。そのあと何やら騒がしいなと思ったらもうすでに巣には誰もいない状態で、親鳥もいなくなってて。

そしたら、巣の真下の地面に一羽だけ取り残されている雛発見。もう9割がた育っていて、ヒナのぽわぽわした毛がほぼ抜け終わるころだった。

口をへの字に結んで、お母さんが来るのを待ってるんだもん!って感じ?

とりあえず何か食べてもらおうとカモの餌をふやかしてピンセットでやろうとしても、なかなか口を開けてくれないので無理やり押し込んでみた。何とか飲み込んでくれてたけど、自分で口を開いてくれないとお互いしんどい。そういえば、羊小屋に夜の間に仕掛けておいた誘蛾灯に虫たちがかかってるかも、と見てみると10匹程度の小さな蛾を発見。

弱ってはいるもののまだ動いている生餌を目の前にちらつかせたら、口を開けてくれました。あのジャージャー声とともに。とりあえず一安心。しかし、生餌をたくさん運んでやるのは至難の業。

カモ餌は一応魚粉などを含む動物性たんぱくも入っているけど、ざっと調べたらドッグフードで代用できる、という記述を発見。うちにとってはこの上ないラッキー、と思ったものの、これは生きてません!とおっしゃる。

というわけで、ミルワームの出番です。あわてて買ってきました。食いつきは飛翔昆虫には負けるけど、お腹がすいていれば食べてくれます。思いっきり口を開けているときに、ときどきドッグフードも放り込みます。栄養バランス考えないとね。

今思えばホントによく食べたと思う。人間が動くたびにジャージャー言って餌をねだってたね。そのたびに何かしら口に放り込んでた。たしかにお腹がすいてないときには餌をやろうとしても黙ってそっぽ向くのよ。ああ、こうやって複数のヒナが育つんだな、というのがわかる。

じゃ―子を拾った日から数えて8日目。ジャージャー音で餌をねだるけど、少し大きな虫を嘴の先で挟んで自分で上手に飲み込めるようになったし、飛びたがるようになってきたので、他のツバメたちがたくさんいる朝に放してみることにした。

初日は放す場所が悪かったせいで、近くの巣作り中のツバメのつがいに追われて逃げ回っていたけど、まだ羽ばたきがつたなくて、これは無理だわー・・・という飛び方だった。しばらく見ていたら、30分くらいかな、羊小屋付近の柵の上に止まったので回収に行くとおとなしく手の上に乗ってきた。餌くれーって言いながら。

この日は巣立ちは断念。部屋の中で毛づくろいしたり、餌ねだったり、ホバリングの練習してたり。

次の日の朝は昨日のつがいの巣からちょっと離れた場所で籠の扉を開けてみた。近くを他のツバメが飛んだ時、つられて飛び立った。若いツバメが誘いに来たように思う。

あーとうとう行っちゃったかなー・・・。ちょっと寂しいのが半分、これで生餌を捕まえに虫取り網片手に歩くのも終わりだーという安堵感半分。最近、トンボ捕るのうまくなったのになーとか。

と思ったら、3時間後くらいに外で作業をしていたときに頭の上を旋回するツバメ。じゃ―子?と呼ぶとピッて答える。何度呼んでもピッて答える。そのうちに近くの柵の上に降りてきた。彼らは風に乗って飛ぶのは得意でも、どこかに止まるのは練習が必要なようだ。

近寄っても飛び立たないので、帰る?というと手に乗ってきたのでこの日もご帰還。

放鳥3日目。そろそろ行っちゃうかなー・・・と思いつつ放してみる。やっぱり他のツバメが迎えに来た時に飛び立つ。もうちゃんと飛んでる。すごいなーと思ってるうちにどこかへ行ってしまった。

ときどき外を気にはしていたけど帰ってくる気配がなかったので、やっと終わりかーと思っていたら、またしても頭上にツバメ。今度は2羽いたのでどっちかな?と見ながら、じゃー子と声をかけると1羽だけ残って、ピッて返事をしてくれた。風にあおられながら少しずつ降りてきて私の頭に止まる。思ったところに少しずつ止まれるようになってきたということなんだと思う。

手を出すと乗ってきたので連れて帰ることにした。きっとこれで最後かな。

しかし!もうミルワームないよー!ということでまたしても虫取り網持って放牧地の中を歩き、これじゃ足りないのでミルワームを買いに行く。拾ってから10日程度でミルワーム5パックだよ。どんだけ食べるんだ。

最初に放した日はたった3日前なのに、この日飛んでいる姿を見て不思議と安心感があった。

もうドッグフードは食べないと言い、ミルワームも首を傾けて嘴でつまめるようになって、毛づくろいもぬかりなくなって、きれいなツバメになったね。

部屋の中では籠の蓋はいつでも開けてあった。いつでも飛び立てるのに飛ばないんだよ。よっぽど餌が欲しい時にジャージャーを無視してその辺を歩いていると飛んでくるけど。

4日目の朝、たぶんお友達ツバメがどこかで待ってたんだね。籠の蓋を開けるなり飛び出していったら、どこからともなく友達ツバメが現れて連れ立って飛んで行ってしまった。

夕方には帰ってきたっぽいんだけど、頭上で旋回したり近くを飛んだりするものの、呼んでも反応がない。もう餌は自分で捕れるんだね。雨が強くなって心配ではあったけど、いつも連れがいて一緒に飛んでいるのできっと大丈夫なのでしょう。

ほぼ完成形のツバメの子だったのでこれでなんとかなったけど、もっと小さかったら大変だったよね。しかも5羽も6羽もいたらと思うとぞっとする。親鳥が何度もヒナに虫をやってるのも頭が下がる。

じゃー子はしばらくこの辺で過ごしていると思う。ツバメは1年生き残れる率が2、3割なんだそうだ。願わくば生きていて、来年も戻ってきて欲しいと思う。

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